渚ようこリサイタル2017
〜花吹雪、シュトルム・ウント・ドラング篇〜


花園臨界実験所

激震・大疾駆クァルテット

キーボード、ピアノ:たけやん(鍵盤屋)
ギター:ベンジャミン・オイカワ
ベース:的場慎太郎
ドラム:長谷革ナオヤ

渚ようこ曰く、良きにつけ悪しきにつけ “これは上手く書けてる脚本ですネ”って云いたく成る事が現実に起こりすぎてサ、相云う意味でも「臨界」て言葉は今ドンピシャなの。
今回ギターを弾いているベンジャミン・オイカワとバンマスであるキーボード担当のたけやん(鍵盤屋)は、元々歌と踊りのレビュー・グループである「デリシャスウィートス(以下、デリシャと略)」のバック・バンド「女横丁痺れ腰(以下、痺れ腰)のメンバーです。
黒紋付の着流しで演奏する彼等の演奏を何度も聴いてイイナと思っていたし、「デリシャ」のショーにゲスト出演した時に私のバックも演ってもらった縁もあって、2013年のリサイタル『荒野の渚ようこ』(11月26日 於・新宿紀伊國屋ホール)の演奏を彼等に頼みたいと思った。その時はベンジャミンのギターが決め手になりました。彼のギターは「スケバンブルース」を唄ってる感じがした。演歌的なブルースも感じるし。
日活がロマン・ポルノ一色に成る直前、ダイニチ映配時代の1970年に集中的に創られた『新宿アウトロー ぶっ飛ばせ』(監督・藤田敏八 主演・渡哲也)『反逆のメロディー』(監督・澤田幸弘 主演・原田芳雄)『女番長 野良猫ロック』 (監督・長谷部安春 主演・和田アキ子)に盛り込まれた「刹那感」と「高層ビルが林立する直前の新宿を背景とする不良達の溌剌とした感じ」が大好きでそれ等を「ヤサグレ感」と総称している。今迄色々な演奏者と共演して来て上手い人は一杯居たけど、今みたいな「ヤサグレ感」って無かった。私のレパートリーに興味を持って演奏に臨んで呉れて、なをかつ演奏力も高く、60年代末のフリーキーな新宿調のフィーリングを豊富に持ちあわせている。
「痺れ腰」はメンバーの脱退が在り、ベースは的場慎太郎、ドラムは長谷革ナオヤが加入して今の面子に成った。着流し姿時代は裸足で弾く事が多かった的場慎太郎の端正なベースと長谷川ナオヤのロキッシュなドラムに乗って、ベンジャミンが心の丈けをブチまけ、生ピアノ/キーボードのたけやん(鍵盤屋)が緩急自在に全体を締めてる。心の丈けをマッシュ・ケ・ナダ(最高)にぶちまけてるのは、全員相で、スタジオでも皆楽し気だし、ステージではたけやん(鍵盤屋)を中心にチューニングされた「理想的にヤサグレた新宿のフォークロアとしての歌謡曲」を想う存分、私は唄えてる。
そんな四人衆のグループ名を「花園臨界実験所」に決めました。

(アルバム「渚ストラット」ライナーノーツより)