アングラ演劇ポスターの全貌を公開!



この展覧会は、ポスターハリス・カンパニーの2万点以上所蔵する「現代演劇ポスターコレクション」
から厳選された、1960~1970年代のカウンターカルチャーの一翼を担った、アングラと
呼ばれる小劇場演劇の傑作ポスター約100点を展示します。


1960〜1970年代にかけて、世界の若者の既成の秩序に対する異議申し立てに
同調するように、日本の演劇界でも新劇とはまるで異質な世界を創造することを
目指した「アングラ演劇(小劇場運動)」が勢いを持ち、寺山修司、唐十郎、鈴木忠志、
佐藤信、串田和美らが、それまでにない実験的な舞台を繰り広げていきました。


この時代、舞台と相乗効果をもたらすユニークなビジュアル表現で観客の心を揺さぶったのが
天井棧敷、状況劇場、黒テント、自由劇場、大駱駝艦などの「劇団の旗印」として登場したポスターの数々です。
ある意味でポスターがアングラ演劇の先導的役割を果たし、時代を挑発し、現在はその象徴として存在しています。


このアングラ演劇のポスター群には、横尾忠則をはじめとして、粟津潔、赤瀬川原平、宇野亜喜良、金子國義、
篠原勝之、平野甲賀、及部克人、串田光弘、及川正通、榎本了壱、花輪和一、林静一、合田佐和子、戸田ツトムなど、
多くの一流アーティストがかかわっています。
彼らの手によるポスターは、単なる公演告知のポスターの枠を越え、アングラ演劇の軌跡を鮮やかに示すとともに、
日本が熱く燃えた時代を鋭く切り取り、ポスター自体が発するメッセージは時代を越え今も輝き続けています。
なぜこれらポスター群が輝きを失わないか、その理由の一つに、ポスターのデザイナーが実際の舞台の美術も
担当した事があげられます。ポスター1枚に舞台のトータルイメージが凝縮され、時にはそのデザインが
舞台の演出にまで影響を与えたことも少なくありません。


そんな作品群を見ていると、今にもその舞台が蘇ってくるような興奮に包まれます。
まさに、1920年代の「ロシア・アヴァンギャルド」のポスター群を凌駕する
日本のポスターの傑作群=「ジャパン・アヴァンギャルド」と言えるでしょう。


ここ数年1960~70年代の現代美術を再評価する展覧会が数多く開催され、今回展示されるポスターも
「時代の証言者」として重要な位置を占めています。さらに、当時の貴重な関連資料も展示いたします。



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