今回の展覧会では、寺山の墓標とも云うべき、第1作品集『われに五月を』(作品社/1957年1月1日)から
『ニーベルゲンの指輪・ラインの黄金』(新書館/1983年4月10日)まで、寺山修司の生前の全著作187冊
(編著・翻訳含む)を展示します。
最初の作品集『われに五月を』には、寺山の文学的エッセンスが全てつめこまれています。『ガリガリ博士の犯罪
画帖』(1970年)では単なる戯曲を掲載した本ではなく、演劇そのものを書物にしようと試みました。宇野亜喜良
と組んだ新書館のフォア・レディース・シリーズは、寺山の文章だけでなく、造本、装丁も含め本そのものが乙女心
をくすぐるような仕掛けになっています。粟津潔が装丁の『地獄篇』(1970年)にはなぜか?ろうそくと火縄が付録
に付いています。寺山修司の「本」は、書物であることを超えて、読者を挑発する「武器」として存在しようと
したのではないだろうか。寺山修司の著作本には様々な仕掛けや実験がほどこされています。
『われに五月を』 (作品社・1974)
『長編叙事詩・地獄篇』 (思潮社・1970)
装丁:粟津潔 / 限定500部
寺山修司の貴重な直筆原稿も展示します。
「演劇実験室◎天井棧敷」旗揚げ公演『青森県のせむし男』(1967年)の直筆台本(初公開)
最後の『奴婢訓』パリ公演(1982年)の直筆台本(初公開)
箱書きほか、演劇、映画、出版関連の直筆原稿を、没後30年を記念して公開します。
『青森県のせむし男』 (演劇実験室◎天井棧敷・1972)
寺山修司 直筆原稿
『奴婢訓』パリ公演 箱書き(演劇実験室◎天井棧敷・1982)
寺山修司 直筆原稿